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ピアノ/ピアニスト②

三人目のピアニストはイタリアの至宝-マウリツィオ・ポリーニ-です。

恐らく、現役のピアニストの中では現代最高レベルの一人だと思われます。
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彼の演奏はショパンのスケルツオやピアノソナタを聴き始め、その極限までコントロールされた完璧な演奏に酔いしれました。
なにか、他のピアニストには無い、(冷徹と言われる事もある)大理石の建造物のような、凛とした佇まい。
ショパンコンクールをぶっちぎりで勝ち抜き(当時18歳)巨匠ルービンシュタインをして「この中の誰よりも上手く弾く」と言わしめた程の腕前をもち、にもかかわらず直ぐには演奏活動にはいらず、8年間も物理学やイタリアの巨人ミケランジェリ(彼の事は追々知る事になります)に師事を仰ぎ、満を持して1986年に復活します。
僕は彼の弾くベートーベンピアノソナタ(ピアノの新約聖書とも呼ばれる1-32番まで)にも魅了されました。

彼は言っています。「現代の人たちは何故クラシックを好まないのだろう?こんなにもイマジネーションに溢れているのに」「大切なのは曲を正しく演奏することではなく、正しく解釈する事だ」
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そして、四人目のピアニストはポリーニの師-アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ-通称ABM
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彼の演奏はドビュッシーの映像が有名ですが、彼こそは冷徹者、マシーンと呼ばれるポリーニの元祖雛形のような存在です。。
ABMのレパートリーは大変限られており、その変質的とも言われる(ピアニストは変人率高し。。)完璧主義から、それこそ手が血まみれになるほど練習したそうです。。ピアノの調律にもこだわり、彼が何かおかしいといったピアノを調律師が分解したところ、その鍵盤だけある小さな器具が逆に付けられていたという。その器具は左右が98%対照に作られており、仮に逆に取り付けたとしても普通は気付かないものであったそうです。
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彼の演奏は何と言うか。。「未来を弾いている」とでも表現しましょうか、弾く前に決定されているとでもいうような絶対的な完璧性。。暗闇にパッと発現させ、華麗に織りなし、まるでミルフィーユの様に積み重ねられた音符の神殿に。。有無をを言わせぬ、説得力があるのです。移ろいやすい情緒といったものは皆無で、そういったタイプではなく、(ポリーニもそう)イタリアらしい建築的とも言える圧倒的な-美-を創造するのです。。




見た目はちょっとコワモテ風に見えますが(笑)。。普通の人間には到達出来ない領域というか、ここには比類の無い、究極に美しいピアニズムがあります。

この至高の逸品が簡単に鑑賞出来る僕たち現代人は幸せです。
by unknown-design | 2012-10-06 16:55 | 芸術

人生で遭遇する様々な未知の体験について。カメラと一緒に旅に出よう☆


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